子どもの運動指導者が犯している大きな間違い

みなさんこんにちは!

苦瓜です。

実は、私は子どもの運動教室で講師もしています。

サッカーや体操等を教えているのですが、子どもの学習や運動指導について、多くの指導者が間違えていることがあります。

ここを間違えたまま進んでしまうと、大人になってからものすごく努力をしなければいけなかったり、学校で周りの子に大きく差をつけられたりすることになり兼ねません。

今日は、発育発達や脳の成長の観点から、子どもの運動指導について、多くの指導者がよく犯す間違いについて話をしていきましょう。

スキャモンの発育発達曲線

子どもの脳の成長を話すうえで、外せない理論があります。

みなさんは、スキャモンの発育発達曲線知っていますか?

成長発育を20歳でのレベルを100%として考え、各体の組織の発達・発育していく特徴を4つのパターンに分けてグラフ化したものです。

(松尾保:新版小児保健医学、松尾保編、日本小児医事、出版社、東京、第5版、p10、1996より)

このグラフを見ると、人の脳の成長(神経型)は12歳くらいでピークを迎えることが分かります、

それ以降、12歳~20歳までは完成した状態でほとんど変わらず、その後は老化していく可能性が高いのです。

30歳を過ぎる頃には急激に神経細胞が減少するために学習効率も悪くなると言われています。

このことから考えると、運動にかかわらず、何かに取り組む時には、幼いうちにスタートをした方が良いと考えられ、物心がつかないうちから習い事を始めることも効果的と言えるかもしれません。

では、もう少しこのグラフの脳(神経型)の部分について細かく見ていきましょう。

3~4歳の期間に着目すると、なんと、80%が出来上がっています。

6歳までに90%、12歳になると100%が完成しますので、成長の傾きだけを考えれば3歳までがもっとも活発です。

3歳までには約8割が出来上がって、あとは12歳までにゆっくりと成長していくので、3歳までにどれだけ良質な刺激を脳に与えることができるかが、その後の才能開花の鍵を握って言っていると言っても過言ではないですね。

この時期に、脳に対して適切なアプローチが行えると、その教育によって脳内のシナプスをどんどん増やすことができ、脳内細胞の結合も促進させることができると言えそうです。

 

ゴールデンエイジ理論

 

最近では、この言葉も当たり前のように耳にすることが多くなりました。

ゴールデンエイジについて、日本サッカー協会は以下のように記述しております。

「U-10~U-12年代は心身の発達が調和し、動作習得に最も有利な時期とされています。集中力が高まり運動学習能力が向上し、大人でも難しい難易度の高い動作も即座に覚えることができます。「ゴールデンエイジ」と呼ばれ、世界中どこでも非常に重要視され、サッカーに必要なあらゆるスキル(状況に応じて技術を発揮すること)の獲得に最適な時期として位置づけられています。本格的なサッカートレーニングの始まりの時期です。サッカーで求められるスキルを習得させ、それをゲームの中で発揮できるようにトレーニングしていきましょう。」

 

分かりやすく言い換えると、9歳ぐらいから12歳ぐらいまでの間が運動学習に最適な時期でありこの時期を逃さずにサッカーの実践的スキルを習得しましょうということです。

 

この背景には、旧東ドイツの教育学者クルト・マイネル博士が著した『運動学』という文献の中に出てくる「即座の習得」という言葉が関係しています。

この意味は、9歳から12歳ぐらいまでの間は、新たな運動を少し経験したり見たりしただけで、大まかにできてしまうということです。

そして、そのような時期は一生に一度だけ訪れると言われています。

まとめると、9歳~12歳の間は、どのような運動でも器用に素早く習得することができる時期であるため、そのにいろいろなスキルを習得させたほうがよいということです。

実際、この時期の子どもを対象とした運動教室では、高度なスキルを習得させるようなプログラム構成をしている教室が多く見受けられます。

新ゴールデンエイジ理論

 

最近は、新しいゴールデンエイジの考え方も出てきているようです。

それは、年齢だけでなく、身長125cmという身体的発育にも着目した考え方です。

ここでは詳しくは述べませんが、簡単に言うと、

①身長が125cmに達する8~9歳くらいまでが様々な身体能力を養うのに適した時期である

②9~12歳の時期は、身体能力よりも情報の処理や判断が発達する(認知機能が発達する)時期である

といった理論です。

もちろん、しっかりと研究データに基づいた理論ですよ。

これは、私の経験でも、一致する部分があるように感じますね。 

多くの指導者が間違えていること

 

ここまで、スキャモンの発育発達曲線とゴールデンエイジについて話をしてきましたが、ここからは、指導者がこの理論を間違えて捉えている点について話をしていこうと思います。

 

スキャモンの発育発達曲線に関する誤解

実は、上記で述べたスキャモンの発育発達曲線の捉え方についてですが、ここには一つだけ落とし穴があります。

それは、スキャモンの発育発達曲線の神経型というのは「脳の重量または容量」についての発達を示しているということです。

つまり、「質」については無視なわけです。

もし、これが質の部分も合わせての発達という話であれば、脳(神経型)がある年齢で一定量に達した時、全ての子どもが同じ運動機能を備えることになります。

しかし、実際はそのようなことはありえませんよね?

同じ年齢でも、教えたことをすぐにできる子、全くできない子、時間をかけて練習すればできる子、そもそも指導者の言うことを理解できない子等、さまざまです。

人間はロボットではないので、神経型、リンパ系、一般型、生殖型のすべてが揃えば、設計どおりに動くわけではありません。

スキャモンの成長曲線は「質」と「量」のうち、「量」のみしか考慮していない。

つまり、その発育発達には個人差があるため、年齢のみで子どもの運動能力を判断するのは危険なのです。

ここは指導者がよく理解しておくべき点ですね。

 

ゴールデンエイジ理論に関する誤解

実は、9歳ぐらいから12歳ぐらいまでの間が運動学習に最適な時期であるというゴールデンエイジ理論には、前提条件があります。

それは何かというと、基礎的な能力が備わっているということです。

マイネル博士自身も、

「即座の習得のようなすばやい学習が行われるのは、すでに豊富な運動経験をもち、見た運動に共感する能力がよく発達しているときだけである。」

と述べています。

つまり、走る、跳ぶ、投げる、捕るなどの基礎的運動を十分に経験し、そこから身体操作性やコツのようなものを習得しなければ、「即座の習得」は望めないのです。

したがって、「即座の習得」に関する9歳から12歳までが運動学習最適期だとは必ずしも言えないわけです。

ということは、

「9歳~12歳の時期が子どもの脳にとって大事なので、とにかく色んな運動を体験しよう!」と謳っている運動教室は、少し注意が必要ですね。

 

さいごに

今日は、発育発達や脳の成長の観点から、子どもの運動指導をする際の理論や注意点について書いてきました。

少し難しかったですかね?笑

ここまで小難しい話をして言うのもなんですが、自分の子どもに何か習い事をさせる際、一番見るべきポイントってなんだと思いますか?

 

その習い事の強み、特色、内容

ではないです

 

これ、はっきり言いますが、見るべきところは「指導の仕方や指導者そのもの」です。

ここまで話したように、身体能力について、「何歳の時期が最適である」、「身長が何cmになる時期が最適」とか言っても、みんなその成長速度や発達の質はバラバラの可能性が高いわけです。

つまり、結局のところ、子どもの発育発達のステージを見抜くセンスがある良い指導者を見つけられるかどうかの方が大事なのです。

よい指導者、コーチと呼ばれる人たちは、今日紹介したような理論をただ当てはめるだけでなく、自分の経験や洞察力を基に適切な指導が自然とできちゃっているのです。

もちろん、理論や知識を勉強しておくことは大事なのですが、それは往々にして現場の指導と乖離していることの方が多いです。

私も、こんなことを日々考えながら、子どもの能力を大きく開花させられる指導者になれるよう、まだまだ努力していきたいと思います。

今日も、最後まで読んでくれてありがとうございました!

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苦瓜 一斉

代表取締役株式会社FRONTIER GATE
出身地:沖縄県 最終学歴:筑波大学大学院(体育科学)大学時代の研究や経験を生かし、主にスクール運営やフィットネス、スポーツマネジメントを中心とした事業を展開中。現在は、個人起業家の支援やコンサルティングも手掛ける。元プロボクサー。個人投資家。

※この記事は、あくまで苦瓜一斉個人の考えであり、他の情報や人物を否定するものではありません。本内容を実践するしないは、個人の判断でお願いいたします。

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